あ と が き
「連理」と同日の夜、「理由」の最後で天狗さんと泰長さんが話していた「人になった泰継さんと酒を酌み交わす」という約束を果たすお話です。当初、酔っ払い天狗のギャグになるかも……などと予想していたのですが、天狗さんが昔話を始めてしまって、意外に真面目なお話になりました。
二次創作をするにあたり、ゲーム本編で触れられていたり設定資料集に記載されている事柄については、公式設定からなるべく外れないようにしている私ですが、どうしても納得できずにMy設定を作ってしまった部分がありました。それが、今回天狗さんが話した晴明様が泰明さんを作るくだりだったりします。「天狗さんの力を借りたとはいえ、陰陽師に人と同じように動いて将来人になれる人型なんて作れるのかなぁ」という疑問があって、それを解決するために妄想した結果が今回の天狗さんの昔話部分になります。龍神様に力を借りたのなら無理がないかなと……。そんなわけで、『八葉全書』に書かれていた「晴明の妻が北山の天狗に頼んで〜」という部分は完全に無視した形になってしまっています。ついでに言うと、公式設定の「晴明は二十一歳から年を取っていない」という部分も変えていて、うちでは四十代前半から半ばくらいのイメージで書いています。昔、遙かなる50のお題の「文」で初めてお師匠を書いた時、「泰明さんと見掛け年齢が同じだと、師匠としての威厳が保てないかなぁ」と思った所為なのですが、泰継さんと泰長さんの見掛け年齢を考えると、あまりこだわる必要はなかったかなと、今になって考えています。見掛け年齢を追い越されても、泰継さんはちゃんと泰長さんのお師匠をしているようだと、この話で判りましたし……。泰長さんも、泰継さんを師匠と慕う気持ちは、子供の頃からずっと変わらないようです。
番外編と言いつつ、詰め込み過ぎていつもながらダラダラと長くなってしまったお話ですが、最後まで読んで下さった皆様、ありがとうございました!