あ と が き
「遙か6」の玄武組は年が離れているにもかかわらず仲が良く、また出逢いの設定が興味深かったので、ゲームをプレイしていた頃からこの二人を、できれば村雨視点で創作として書いてみたいと考えていました。読んでお分かりの通り、この話は九段ルートの最終日、九段さんが梓と共に異世界へ旅立つ直前の玄武組の会話となっております。もし、村雨さんが異世界人であることを九段さんが知っていたら――という、IF話でもありますが、ゲームプレイ時から、私は何となくですが、九段さんは知っていたんじゃないかという印象を持っていました。但し、根拠は全くないので、本当に九段好きによる単なる妄想に過ぎません(笑)。
実は、元々この話で書きたかったのは、IF話の部分よりも、九段さんが千代からの手紙を村雨さんに見せた後の部分だったりします。うちの九段ED後の創作では、九段さんは梓の祖父母宅に居候している設定になっているのですが、彼の性格的に千代と進さんに世話を掛けるのを良しとしないと思ったので、現代のことを知っている上、自分自身も時空を越えるという経験をしている村雨さんに、先達の力を借りるのは悪いことではないと背中を押してあげて欲しかったのでした。村雨さんはいつも九段さんの天然かつ純粋で真っ直ぐな言動に振り回されていますが、辟易していながらも邪険に扱うことなく彼と付き合って来たのは、彼が命の恩人だからというだけではなく、特別な役目を担う家に生まれた所為で、子供の頃から果たすべき使命に縛られ自由に生きることが出来ない九段さんのことを、梓と同様「不憫なガキ」と思っていたからなんじゃないかと私は考えています。少年の頃の九段さんを知っている分、千代に次いで彼のことを理解しているでしょうし、村雨さん自身が優しい人なので、別れの時に九段さんを励ます言葉を掛けてくれたんじゃないかなと思いながら、この話を書きました。
村雨さんは自分のルートで梓にプロポーズするために小説を書いていましたが、九段さんが梓と共に現代に行ってしまった場合、帝都を救った龍神の神子のことをノンフィクションとして書くんじゃないかなと思ったので(元・新聞記者だし)、エピローグを追加しました。探索の時の会話で九段さんが言っていた台詞からヒントを得たんだろうなと思ったりしています。その決意を語るべき相手に、村雨さんならダリウスを選びそうだと思ったので、お館様にも登場して頂きました。こういう立ち位置のダリウスが好きなんです。
九段さんが昔村雨さんに言ったという言葉は、玄武組の過去話に出て来る予定です。6の玄武組の関係は面白いと思うし、二人とも大好きなので、また書いてみたいと思います。
読んで下さった皆様、ありがとうございました!