あ と が き
2005年の新年お年玉企画として無料配布したコピー本用に書き下ろした作品です。
このコピー本は、一周年企画作品として書いた「山吹の記憶」をメインにすることを決めていたのですが、一作だけでは物足りないと思い、物忌みの花を扱った作品という繋がりで、50のお題の一つ「思い出」も収録することにしました。その際、折角なので二つの話を繋ぐような話も書こうと思って、この話を書いた次第です。
そのため、このお話では「思い出」が現代エンディング後であることを無視し(実は元々後付け設定だったので)、「山吹の記憶」の二人が「思い出」の回想シーンの出来事を経験していたら、という設定になっています。
この話の元ネタは「山吹の記憶」執筆時に出来たものです。「山吹の記憶」で、花梨ちゃんが泰明さんが残した山吹の押し花を見て、自分が泰継さんに贈った女郎花と石蕗がどうなったのか気にしているようだったので、それをヒントに作った話だったのです。
「泰継さんが花梨ちゃんから贈られた花を捨てる訳ないじゃない」などと思いながら、泰継さんも泰明さんのように押し花を作っていました、という話を作ったのですが、「逆も有り得るよな」と思いまして。ちょうど「思い出」ではお互いに石蕗を贈り合っていたので、それを絡めて一つの話に纏めてみました。
しかし、ほのぼのだったはずなのに、激甘な話になってしまいました(苦笑)。最後の場面が寝所(しかも、徹夜明けの泰継さんが直ぐに休めるように、既に床の準備が完了している)だったのが敗因かも……。
敢えてあの場面で終わらせてしまったのですが、あの後二人に何が起きたのか、想像するに難くないですよね。きっと、前夜邪魔が入ったので、続き(?)をしたことでしょう(笑)。
読んで下さった皆様、ありがとうございました!